高精度歯型3Dスキャン「iTero(アイテロ)」の導入で、非抜歯矯正が進化
高精度歯型3Dスキャン「iTero(アイテロ)」の導入で、非抜歯矯正が進化

2015年2月4日にiTeroを導入
非抜歯矯正につきまとう「前歯が出てしまう」不安を解消
非抜歯矯正を行う前の不安で最も多いものが、「非抜歯矯正では前歯が出てしまうのではないか」という心配です。
非抜歯矯正を行うとゴリラ顔になるとか、出っ歯になるというのは、非抜歯矯正よくある失敗と誤解で書いた通り、間違った認識なのですが、インターネット上の誤った情報や無理に非抜歯矯正で行おうとする歯科クリニックがあるせいか、まだまだこういう不安をお感じになる患者さまが多いようです。
もっとも、患者さまにとっては、従来の器具を使ったワイヤー矯正ではやってみないと治療後の姿がわかりづらいこともあり、不安を感じることも仕方のないことだったかもしれません。
iTeroの導入で治療後の歯並びを確認してからの治療開始が可能に
従来のワイヤー矯正や通常のマウスピース矯正(インビザライン)では、治療後の歯並びを事前に確認することは難しいことでした。

iTeroで治療計画をたてている様子
iTeroの3Dスキャン機能で精密な歯型が取れるようになり、これまでよりも精度の高いマウスピースが作製できるようになりました。
また、スキャンした画像をその場で確認することができ、患者さまと治療シミュレーションを行いながら、治療後の歯並びを事前にご確認いただけるようになりました。
前歯が前に出ることを避けたい場合、前歯の位置を固定して治療シミュレーションを行うことができるようになったため、治療前と治療後のイメージのずれが少なくなりました。
治療開始前の診断を厚くすることができるため、前歯の位置を固定した場合にイメージ通りの歯並びが実現できないとわかった場合は、治療方針の変更を行いやすくなり、結果として患者さまの満足度を高めることができると考えております。
「矯正器具」に対する不安を解消

従来の矯正器具を使ったワイヤー矯正だと、器具への不快感や、矯正治療中であることが一目でわかってしまう見た目が、治療を躊躇してしまう原因になっていました。
マウスピース矯正(インビザライン)は、最初に歯型を取り、それを元に患者さま専用のマウスピースを作り、徐々に歯を動かしていく治療法です。
透明なので他人から矯正中であることがわかりづらく、ワイヤーと比べて違和感も少ないため、しゃべるお仕事をされている社会人の方でも負担なく治療が続けられます。
食事や歯磨きのときにマウスピースを外すことができることも、メリットの1つです。
歯型の精度が格段に向上したことで1本1本の歯に対してコントロールが可能に
マウスピース矯正(インビザライン)の成功は、いかに精度の高い歯型を作れるかにかかっています。
iTeroによって従来のマウスピース矯正(インビザライン)と比べて歯型の精度が格段に向上したことで、1本1本の歯に対して移動距離を設定できるようになるなど、より細かく正確な動きで治療を進めることができるようになりました。
これまでより、患者さまの歯の状況やご希望に合わせた矯正治療を行うことがしやすくなったのです。
精度だけではなく、患者さまが歯形を取るときに従来の方法であれば口にシリコンをつめて、しばらくの時間我慢をしていただかなければなりませんでしたので、嘔吐反射(オエッとなる吐き気)が起きやすいというデメリットがありました。

最先端の機械で精密な歯形を取るほうが、より精度の高い矯正治療が行えます。
光学スキャン方式であれば、患者さまが型取りの際にシリコンが固まるまでの間苦しい思いをしなくて済み、型取り時間も大幅に短縮できるなど、iTeroを使ったマウスピース矯正(インビザライン)はメリットの多い治療法です。

上記の画像を見ていただくとおわかりいただけると思いますが、iTeroを使用した光学スキャンの歯形の方が、精密な歯形が取れていることは明らかだと思います。
iTeroは高価な機械のため、まだ国内で導入している医院は多くありません。
新しい機械や技術を常に取り入れ、より良い矯正治療を提供していくことは、患者さまが安心して矯正治療を受け、健康的で美しい歯並びを取り戻すのに、大変大きな貢献をしてくれるものだと考えております。
歯の後方移動や歯列の拡大もしやすい装置ですので、非抜歯治療にも大きく貢献してくれることでしょう。
iTero紹介動画
従来のインビザラインとiTero(アイテロ)の比較
歯形の精度 | シリコン素材を使って歯形を摂取(シリコン印象)。iTeroスキャニングが導入される前は最も歯形の精度が高い方法だったが、歯形を取る医師の技術によって精度のバラつきが出る。 |
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歯形を取る負担 | シリコンでの歯形採取は、シリコン素材を口の中にいれて長時間静止している必要があるため、嘔吐反射が起きやすい。 |
治療期間 | 歯形をアメリカに輸送し、現地で制作したマウスピースを元に治療シミュレーションを作成するまで一ヶ月程度かかっていた。 |
歯形の精度 | 光学スキャニングにより、シリコンでは再現できなかった細かな歯表面の凹凸まで3Dデータとして取り込むことができる。デジタルスキャンのため、型を取った後で変形してしまう心配もない。 |
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歯形を取る負担 | 口に歯形採取のための素材を入れる必要がなく、センサーでスキャンしてすぐに歯形を採取することができる。 |
治療期間 | 採取した歯形のデータはインターネットを通して米国アライン社まで送信されるため、マウスピースが出来上がるまで最短で4~5日程度と劇的に短縮。歯形もその場でデータ化されるため、治療シミュレーションもその場で確認することができる。 |